作詞 武島羽衣
作曲 滝廉太郎

1.

春のうららの隅田川
のぼりくだりの 舟人が
櫂のしずくも 花と散る
ながめを何に たとうべき

2.

見ずやあけぼの つゆあびて
われにもの言う 桜木を
見ずや夕ぐれ 手をのべて
われさしまねく 青柳を

3.

錦おりなす 長堤に
暮るればのぼる おぼろ月
げに一刻も 千金の
ながめを何に たとうべき

1900年(明治33年)に発表された曲です。武島羽衣は春らんまんの隅田川の風景を見て、とても感動したのでしょう。武島羽衣28歳、滝廉太郎21歳の時の作品です。歌詞の内容は次のようではないでしょうか。

 

<1番>

春の穏やかで柔らかな陽気の隅田川。川をのぼりくだりする船の船頭さんがこいでいる櫂の水滴も花のように散っています。この素晴らしいながめを何にたとえたらいいでしょう。        

 

<2番>

見てごらんなさい。朝露をあびた桜の木が、私に話しかけているみたいです。見てごらんなさい。夕暮れに青い柳の木が、手を伸ばして私を招いているみたいです。

 

<3番>

錦織りのように色鮮やかな土手に日が暮れて、おぼろ月がうかんでいます。本当にこのひと時は千金に値するくらいです。この素晴らしいながめをいったい何にたとえたらいいでしょう。

 

昔も今も変わらず、日本人の心にうかぶ代表的な花は桜でしょうか。待ちに待った桜の開花の知らせは、「春が来ましたよ、これから春本番となりますよ!」と、冬の寒さで閉ざされた私たちの心を開放させてくれるような気がします。三分咲き、五分咲き、そして満開と、その時々を楽しみ、ひらひらと散っていく様にも、心が動かされます。花の色は淡い色なのに、満開になると、とても華やぎをかもしだしこれが何本も連なると本当に見事ですね。

 

ある方は、「桜前線の北上を追って、日本を旅したい!」とおっしゃっていました。どうして桜はこんなにも人を惹きつけるのでしょう。

 

歌詞は少し難しい文語体でつづられていますが、実際に歌うととても親しみやすく口ずさみやすいのは、春のもつ息吹や躍動感がこの歌の中に満ち満ちているからでしょう。